痛みはサイン

 痛みと一口に言っても、色々なものがあります。

「鈍い痛み」、「刺すような痛み」というように、感じ方もそれぞれです。痛みに強い人、弱い人といった表現がされることもあります。痛みが出る場所、発生原因も多種多様です。

しかし、痛みは、身体が出しているサインであり、我慢できるから放置しておいてよいとは限りません。

 〇痛みとは？どうして痛みを感じるのか？ 　

そもそも痛みとは何なんでしょうか？

痛みに明確な定義はありません。例えば、国際疼痛学会は、痛みについて「組織の実質的あるいは潜在的な障害に伴う、あるいは、そのような障害を表す言葉で表現される不快な感覚あるいは情動体験」と定義されていますが、ピンと来ません。

要するに、辛く、不快な感覚を痛みと表しているかもしれません。同じような刺激・感覚でも、ある限度までは痛みとは感じません。痛みと感じるまでの刺激の強さ、感覚には個人差があります。人それぞれ感じ方に違いがあるのです。

ただ、一ついえることは、痛みを感じるということには意味があります。それは、「命を守る」ためのシグナルとしての役割です。

外傷も身体の中から感じる痛みも身体のどこかで何かしらのトラブルがおきていて、赤信号が点滅しSOSのサインを出しているといえます。放っておいても、原因が解消され、痛みが無くなるものもありますが、解消されず長引けば、身体や精神にダメージを受けて、辛い状態になってしまいます。

〇痛みの種類について 　

私達が普段、痛みと感じるものには、その原因によって、大きく分けて次の2つのものがあります。

　・侵害受容性疼痛 　・神経障害性疼痛 　

侵害受容性疼痛とは、身体のどこかが傷み、傷つくことで感じる痛みのことです。外傷や関節痛といったものがこれに当たります。

一方、神経障害性疼痛とは、神経そのものが感じる痛みです。例えば、糖尿病の合併症によるものや帯状疱疹によるものもこれに当たりますが、痛みの元となる箇所、原因を特定できない場合もあります。

その他にも、心因性疼痛（中枢神経障害性疼痛）と呼ばれるものもありますが、脳そのものの変調、トラブルで傷みとして感じてしまうもののことを言います。

あと、痛みの続く期間によって、急性と慢性とに分けることが出来ます。急性とは、概ね1月以内に痛みが治まる場合、慢性とはそれ以上続く場合のことを言いますが、急性の痛みでも、放置しておくと慢性となることもあります。

〇痛みをそのままにしておくと？

痛みは先ほど説明したように、身体のサインです。

例えば、「熱い」という感覚は、火傷を防ぐためのものです。同じように痛みは、どこかにトラブルが起きているということを知らせてくれているのです。自然に原因が解消される、治癒することもあるかもしれませんが、放置したり、我慢をすることで、痛みに慣れてしまったり、後々支障が出たり、取返しがつかなくなるようなこともあります。原因を究明して治療することが大切です。